column

コラム

2025.01.29

犬猫のチューリップ中毒について救急獣医師が解説

<原因>

チューリップ(Tulipa)は春に咲く美しい花で、多くの家庭で観賞用に栽培されていますが、その球根、葉、茎、花には動物に対して有毒な成分が含まれています。特に球根に含まれる毒素が危険であり、動物が摂取することで中毒症状を引き起こします。チューリップの中毒を引き起こす主な成分は、アルカロイドの一種であるチューリプアミンサポニンです。これらの化学物質は消化器系や神経系に影響を与えることがあります。

チューリップの花や茎、葉にも多少の毒性がありますが、最も危険なのは球根です。球根は非常に栄養価が高く、動物が誤って摂取しやすいです。犬や猫がチューリップを食べてしまうことが多いですが、特に好奇心旺盛なペットや犬が庭や鉢植えの植物に近づくことがあります。

<症状>

チューリップを摂取した動物に現れる症状は、摂取量や動物の体重、健康状態によって異なります。主な症状としては以下のようなものがあります:

  • 消化器系の症状
    • 嘔吐
    • 下痢
    • 食欲不振
    • よだれが多くなる
  • 神経系の症状
    • 落ち着きがなくなる
    • 震えや筋肉のけいれん(重症の場合)
  • 全身症状
    • 嗜眠(眠りこける)
    • 呼吸困難(重篤な場合)

中毒の症状は摂取後すぐに現れることもありますが、数時間から24時間以内に症状が進行することがあります。特に消化器系に影響が出ることが多いため、嘔吐や下痢、よだれが多くなることが一般的です。

<治療>

チューリップの中毒が疑われる場合、早期に獣医師の診察を受けることが重要です。治療は以下のような方法で行われます:

  • 吐き気や嘔吐の管理:摂取から時間が経っていない場合、獣医師は吐き気を引き起こさせるために薬を投与することがあります。これにより、体内から毒素を排出することができます。
  • 活性炭の投与:毒素の吸収を減らすために、活性炭が与えられることがあります。これにより、消化管からの毒素の吸収を抑えることができます。
  • 点滴療法:脱水症状を防ぐため、点滴による水分補給が行われることがあります。特に下痢や嘔吐がひどい場合には水分補給が重要です。
  • 症状の管理:重症の場合には、神経症状や心拍数の異常が見られることがあり、その場合は特別な治療が行われます。

早期に治療を受けることで、通常は回復が期待できますが、重症化すると生命に危険を及ぼすこともあるため、チューリップの誤食を防ぐためには、ペットがアクセスできる場所に植物を置かないことが重要です。

<予防>

  • ペットがアクセスできない場所にチューリップを配置する:チューリップは庭や室内のペットが簡単に届く場所に置かないようにしましょう。
  • ペットにとって有毒な植物の認識:チューリップ以外にも有毒な植物が多くあります。ペットが食べてしまう危険を避けるためには、植物の有毒性についてしっかりと把握しておくことが大切です。
  • ペットに危険な場所で遊ばせない:庭に出す場合などには、ペットが知らないうちに植物を食べないように監視し、危険な場所にはアクセスできないようにしましょう。

お困りのことが御座いましたら、お気軽にご相談ください。

◆youtube:https://www.youtube.com/@vetsyutty

◆tiktok:https://www.tiktok.com/@nolimitvet_yutty

◆instagram:https://www.instagram.com/yinanobe/

24時間問い合わせはこちらから

公式LINE:https://lstep.app/XvXjl0q

PROFILE

稲野辺悠(夜の獣医師ゆってぃー)

港区動物救急医療センター芝アニマルクリニック院長
日本獣医救急集中治療学会所属

コラム一覧に戻る →