2025.05.03
犬猫の咽頭炎・喉頭炎
<原因>
咽頭炎および喉頭炎は、それぞれ咽頭(喉の奥の部分)や喉頭(声帯や気道の入口)の粘膜に炎症が生じる疾患です。以下のような原因が考えられます。
- 感染症
細菌、ウイルス、真菌などによる感染が主な原因です。特にパラインフルエンザウイルスやボルデテラ菌が犬の喉頭炎で一般的です。 - 異物の侵入
骨や草の種などが咽頭や喉頭に引っかかり、局所的な炎症を引き起こします。 - 刺激物の吸入
タバコの煙や化学物質、粉塵などの刺激物を吸入することで、粘膜が損傷します。 - アレルギー
アレルギー反応により、喉の粘膜が炎症を起こすことがあります。 - 過度な使用
長時間の吠え続けや鳴き続けによる声帯への負担が、喉頭炎の原因となることがあります。 - 基礎疾患
胃食道逆流症(GERD)や腫瘍、甲状腺機能低下症が原因で咽頭や喉頭に炎症が生じることがあります。 - 外傷
首輪やリードによる外部からの圧迫が喉頭に損傷を与えることがあります。
<症状>

咽頭炎と喉頭炎の主な症状は、炎症が起きた部位によって異なる場合があります。
- 咳
乾いた咳が多く、喉頭炎の場合は声がかすれることもあります。 - 嚥下困難
食事や水を飲み込む際に痛みや違和感を訴えるような行動(食べ物を口から出すなど)が見られます。 - 嘔吐や吐出
咽頭炎では嘔吐反射が強まり、食後に吐出する場合があります。 - 呼吸困難
喉頭炎が重症化すると、気道が狭まり呼吸困難や喘鳴が生じることがあります。 - よだれの増加
痛みや不快感から唾液が増え、口からよだれが垂れることがあります。 - 声の変化
喉頭炎では、声がかすれる、または声を出さなくなることがあります。 - 発熱
感染症が原因の場合、発熱が伴うことがあります。 - 食欲不振
痛みや不快感により、食欲が低下することがあります。
<診断>

- 問診と身体検査
症状の経過や環境要因を確認し、口腔内や喉の奥を視診で観察します。 - 喉頭スコープ検査
内視鏡を使用して、咽頭や喉頭の粘膜の状態を直接確認します。 - 細菌培養検査
喉頭や咽頭の分泌物を採取し、感染の原因菌を特定します。 - 画像診断
- X線検査: 喉や気道の異常を確認します。
- CT/MRI: 腫瘍や異物の存在を詳しく調べます。
- 血液検査
炎症マーカーや感染の有無を確認するために行います。 - 気管支鏡検査
必要に応じて、気道全体を評価するために行う場合があります。
<治療>

- 薬物療法
- 抗生物質: 細菌感染が原因の場合に使用されます。
- 抗炎症薬: 炎症を軽減し、症状を緩和します。
- 鎮咳薬: 咳の頻度や強さを抑えるために使用します。
- 抗ヒスタミン薬やステロイド: アレルギー性の炎症に効果的です。
- 吸入療法
加湿器を使用したり、吸入薬を利用することで、喉の粘膜を潤し炎症を軽減します。 - 異物除去
異物が原因の場合は、内視鏡を用いて安全に除去します。 - 外科的治療
腫瘍や重度の炎症が気道を塞いでいる場合、手術が必要となることがあります。 - 安静と環境管理
- 声を出す頻度を減らし、喉への負担を軽減します。
- 煙や粉塵などの刺激物を避ける環境を整えます。
<予防策>
- 適切な環境の維持
空気の質を良好に保ち、湿度を適切に管理します。 - 異物の管理
異物を飲み込む可能性のある物をペットの手の届く範囲から排除します。 - 過度な吠え防止
ペットが無駄吠えをしないよう、ストレス管理やトレーニングを行います。 - 定期的な健康診断
喉や気道の異常を早期に発見し、治療を行います。 - 適切な首輪の使用
首に負担をかけないハーネスや柔らかい首輪を選びます。
咽頭炎・喉頭炎は適切な治療と管理により症状が改善する疾患です。症状が見られた場合は、早めに獣医師に相談し、適切な対応を取ることが重要です。
お困りのことが御座いましたら、お気軽にご相談ください。
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PROFILE

稲野辺悠(夜の獣医師ゆってぃー)
港区動物救急医療センター芝アニマルクリニック院長
日本獣医救急集中治療学会所属