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コラム

2025.04.05

犬の僧帽弁閉鎖不全症

僧帽弁閉鎖不全症(Mitral Valve Insufficiency)は、犬の心臓病の中で特に一般的な疾患であり、特に小型犬や中高齢の犬に多く見られます。この病気は、心臓の左心房と左心室の間に位置する僧帽弁が正常に閉鎖しなくなることで、血液が逆流し、心臓や全身にさまざまな影響を及ぼします。

原因

僧帽弁閉鎖不全症の主な原因は、僧帽弁の変性です。特に「粘液腫様変性」と呼ばれる変化が生じることで、弁が厚くもろくなり、正常な機能を果たせなくなります。また、弁を支える腱索が伸びたり切れたりすることで、弁の閉鎖不全が進行することもあります。これらの変化の正確な原因は明確には解明されていませんが、遺伝的要因や加齢が関与していると考えられています。

症状

初期段階では明確な症状が現れないことが多いですが、病気が進行するにつれて以下の症状が見られることがあります:

  • : 特に夜間や運動後に顕著になります。
  • 呼吸困難: 呼吸が速く浅くなることがあります。
  • 運動不耐性: 以前は問題なく行えていた運動を避けるようになります。
  • 失神: 重度の場合、意識を失うことがあります。
  • 食欲不振や体重減少: 全身状態の悪化に伴い、これらの症状が現れることがあります。

検査

僧帽弁閉鎖不全症の診断には、以下の検査が用いられます:

  • 聴診: 心雑音の有無を確認します。
  • 胸部レントゲン検査: 心臓の拡大や肺の状態を評価します。
  • 心臓超音波検査(エコー): 弁の状態や血液の逆流を直接観察します。
  • 心電図検査: 不整脈の有無を確認します。
  • 血液検査: 全身状態や他の臓器の機能を評価します。

治療

治療は、病気の進行度や症状に応じて異なります:

  • 内科的治療: 心臓の負担を軽減する薬剤(例:血管拡張薬、利尿薬、強心薬)を使用します。
  • 外科的治療: 重度の場合、僧帽弁の修復や置換手術が検討されることがありますが、高度な技術と設備が必要であり、実施できる施設は限られています。

予防と管理

僧帽弁閉鎖不全症の予防は難しいですが、早期発見と適切な管理が重要です:

  • 定期検診: 特に小型犬や中高齢の犬では、定期的な心臓のチェックが推奨されます。
  • 適切な運動と食事: 心臓に負担をかけない範囲での運動と、バランスの取れた食事が重要です。
  • ストレスの軽減: 過度な興奮やストレスを避け、安静を保つことが望ましいです。

僧帽弁閉鎖不全症は進行性の疾患であり、早期の発見と適切な治療が犬の生活の質を維持するために不可欠です。飼い主として、日頃から愛犬の健康状態を注意深く観察し、異常を感じたら速やかに獣医師に相談することが大切です。

お困りのことが御座いましたら、お気軽にご相談ください。

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PROFILE

稲野辺悠(夜の獣医師ゆってぃー)

港区動物救急医療センター芝アニマルクリニック院長
日本獣医救急集中治療学会所属

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