2025.09.25
猫の拘束型心筋症
猫の拘束型心筋症(Restrictive Cardiomyopathy, RCM)は、心筋の線維化により心室の拡張機能が障害される心筋疾患です。この疾患では、心室が十分に拡張できなくなり、血液の流れが制限されます。進行すると、心不全や血栓症などの合併症を引き起こす可能性があります。
原因
猫の拘束型心筋症の原因は明確には解明されていません。特発性の場合もあれば、他の疾患からの二次的な変化として発症することもあります。また、遺伝的要因が関与している可能性も指摘されています。
症状

猫の拘束型心筋症の症状は多岐にわたり、以下のようなものが報告されています。
- 無症状: 初期段階では症状が現れないことがあります。
- 呼吸困難: 呼吸促迫や開口呼吸が見られることがあります。
- 後肢の麻痺: 動脈血栓塞栓症により、後肢不全麻痺が突然発症することがあります。
- 失神や突然死: 心機能の低下により、失神や突然死が起こることがあります。
- 元気・食欲の低下、運動不耐性、嘔吐: これらの症状が現れることもあります。
診断方法

猫の拘束型心筋症の診断には、以下の検査が有効です。
- 胸部レントゲン検査: 心臓の大きさや形態を確認します。
- 心臓の超音波検査(エコー): 心筋の線維化や心室の拡張機能を評価します。
- 心電図検査: 心臓の電気的な異常を検出します。
- 血圧検査: 高血圧の有無を確認します。
- 血液検査: 全身の状態や他の疾患の有無を調べます。
治療法

治療は症状や疾患の進行度に応じて個別に行われます。急性の心不全や動脈血栓塞栓症が発症した場合、以下の治療が行われることがあります。
- 酸素吸入: 呼吸困難を軽減します。
- 利尿薬: 体内の余分な水分を排出し、心臓の負担を減らします。
- 胸水の排除: 胸水が溜まっている場合、胸水を抜去します。
- 抗血栓薬: 血栓症の予防や治療に使用されます。
- ACE阻害薬: 心臓の負担を軽減するために使用されることがあります。
- 抗不整脈薬: 不整脈がある場合に使用されることがあります。
予後と予防
猫の拘束型心筋症は進行性の疾患であり、予後は重症度や治療への反応によって異なります。動脈血栓塞栓症を続発することが多く、長期的な予後は不良であることが多いです。原因が解明されていないため、特効薬はなく、予防は難しいとされています。しかし、定期的な健康チェックや早期発見、適切な治療により、症状の進行を遅らせることが可能です。
まとめ
猫の拘束型心筋症は、心筋の線維化により心室の拡張機能が障害される疾患で、進行すると心不全や血栓症などの合併症を引き起こす可能性があります。症状は多岐にわたり、診断には各種検査が必要です。治療は症状や進行度に応じて行われますが、予後は重症度や治療への反応によって異なります。定期的な健康チェックと早期発見が重要です。
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PROFILE

稲野辺悠(夜の獣医師ゆってぃー)
港区動物救急医療センター芝アニマルクリニック院長
日本獣医救急集中治療学会所属