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コラム

2025.08.12

犬猫の動脈瘤

<原因>

動脈瘤とは、動脈壁が局所的に拡張して瘤(こぶ)状になる疾患です。動脈壁の構造が損なわれたり、圧力に耐えきれなくなることで発生します。動物における動脈瘤の主な原因は以下の通りです:

  • 先天的な血管の弱さ: 生まれつき血管壁が弱い場合に発症しやすい。
  • 動脈硬化: 高齢動物や肥満の動物でリスクが高まる。
  • 感染症: 血流を介した細菌やウイルスによる血管炎が関与する場合がある。
  • 外傷: 血管への直接的な外傷や手術後の合併症による。
  • 高血圧: 血圧が長期間高い状態が続くことで血管に負荷がかかり発症。

<症状>

動脈瘤は初期段階では無症状であることが多いですが、進行すると以下の症状が見られる場合があります:

  • 影響を受けた血管付近での腫れや痛み
  • 血流障害による虚血性の症状(跛行や冷感など)
  • 破裂による突然の出血(重篤な場合、ショックや死亡につながる)
  • 臓器機能障害(動脈瘤の部位による)

<診断>

動脈瘤の診断には以下の手法が使用されます:

  • 身体検査: 視診や触診で異常が確認される場合がある。
  • 画像診断: X線、超音波、CTスキャン、またはMRIで血管の拡張や構造の異常を評価。
  • 血管造影: コントラスト剤を使用して血管の詳細な構造を観察。
  • 血液検査: 感染や炎症の有無を確認するために実施されることがある。

<治療>

動脈瘤の治療方法は、動物の全身状態や動脈瘤の場所・大きさによって異なります:

  • 内科治療: 破裂リスクが低い場合は経過観察や血圧管理が行われる。
  • 外科治療: 動脈瘤の切除または血管のバイパス手術が実施される場合がある。
  • 血管塞栓術: 一部の動脈瘤では、コイルや塞栓物質を使用して動脈を閉塞する手法が選ばれる。
  • 感染性動脈瘤の治療: 抗生物質投与と外科的除去が組み合わされる。

<予防>

  • 定期的な健康診断による早期発見
  • 血圧管理を含む生活習慣の改善
  • 外傷防止のための環境整備
  • 感染症の予防と適切な治療

<予後>

動脈瘤の予後は、早期に診断され適切な治療が行われた場合には良好ですが、破裂など重篤な合併症が起きると生命予後が悪化します。特に、破裂時には迅速な治療が求められます。

動脈瘤は見逃されがちな疾患ですが、定期的な検査と健康管理が重要です。動物の異常に早期に気づき、適切な対処を行うことが飼い主としての重要な責務です。

お困りのことが御座いましたら、お気軽にご相談ください。

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PROFILE

稲野辺悠(夜の獣医師ゆってぃー)

港区動物救急医療センター芝アニマルクリニック院長
日本獣医救急集中治療学会所属

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