2025.04.09
犬猫の鼻炎
<原因>
動物の鼻炎は、鼻腔内の粘膜に炎症が生じる疾患で、さまざまな要因によって引き起こされます。以下に主な原因を詳しく解説します。
- 感染症
細菌、ウイルス、真菌が鼻腔内で増殖し、炎症を引き起こします。特に猫では、猫カリシウイルスやヘルペスウイルスが一般的な原因です。 - アレルギー
花粉、ダニ、カビ、食品などに対するアレルギー反応が鼻炎を引き起こす場合があります。 - 異物の侵入
草の種や小さな物体が鼻腔内に入り込むことで、炎症や二次感染を引き起こします。 - 刺激性物質
タバコの煙や化学薬品の蒸気などの吸引が原因となることがあります。 - 歯科疾患
歯根の感染が鼻腔に波及し、鼻炎を引き起こすことがあります。特に犬では、上顎の歯が影響を受けやすいです。 - 腫瘍やポリープ
鼻腔内にできる腫瘍やポリープが炎症や閉塞を引き起こします。 - 構造的異常
鼻腔内や鼻腔周辺の構造異常が原因で慢性的な炎症が起こることがあります。
<症状>
鼻炎による症状は、多岐にわたり以下が一般的に見られます。
- くしゃみ
突然かつ頻繁なくしゃみが見られます。 - 鼻汁の増加
鼻水が透明から黄色、緑色になる場合があり、感染の進行度に応じて変化します。 - 鼻詰まり
鼻腔の閉塞により呼吸が困難になる場合があります。 - 嗅覚の低下
鼻腔内の炎症により嗅覚が一時的に失われることがあります。 - 食欲不振
嗅覚低下や呼吸困難によるストレスから食欲が減退する場合があります。 - 頭を振る、鼻を擦る行動
鼻腔の不快感から頭を振ったり、鼻を擦る仕草が増えることがあります。 - その他
重度の場合、顔の腫れや眼周囲の炎症が見られることがあります。
<検査>

- 問診と身体検査
獣医師は、飼い主から症状や生活環境、既往歴を聞き取り、視診や触診で全身状態を評価します。 - 鼻腔スワブ検査
鼻腔内の分泌物を採取して細菌培養やウイルス検査を行い、原因を特定します。 - 画像診断
- X線撮影: 鼻腔内や副鼻腔の炎症や腫瘍の有無を確認します。
- CT/MRI: 鼻腔内の詳細な構造を把握し、腫瘍や異物の存在を評価します。
- 内視鏡検査
鼻腔内を直接観察し、異物や病変を特定します。 - 血液検査
感染や炎症の程度、全身状態を確認します。
<治療>

- 薬物療法
- 抗生物質: 細菌感染による炎症を抑えます。
- 抗ウイルス薬: ウイルス性鼻炎の場合に使用されます。
- 抗真菌薬: 真菌感染が確認された場合に投与します。
- 抗ヒスタミン薬: アレルギー性鼻炎に効果的です。
- ステロイド: 炎症を強力に抑えるために使用されることがあります。
- 鼻腔洗浄
生理食塩水や専用の洗浄液を用いて、鼻腔内の分泌物を除去します。 - 外科的介入
腫瘍やポリープ、異物が原因の場合、外科的な除去が必要です。 - 環境管理
- アレルギー源の除去
- 加湿器の使用による乾燥の防止
<予防策>

- 環境の整備
清潔な環境を保ち、アレルギーの原因となる物質を排除します。 - 定期的な健康診断
鼻腔内の異常を早期に発見するために、定期的な診察を受けましょう。 - 適切な歯科ケア
歯科疾患を予防することで、関連する鼻炎のリスクを減らします。 - 刺激物の回避
煙や化学薬品が動物の鼻腔に入らないように注意しましょう。
適切な診断と治療を行い、早期に対応することで動物の鼻炎は改善が期待できます。症状が見られた場合は、早めに獣医師に相談しましょう。
お困りのことが御座いましたら、お気軽にご相談ください。
◆youtube:https://www.youtube.com/@vetsyutty
◆tiktok:https://www.tiktok.com/@nolimitvet_yutty
◆instagram:https://www.instagram.com/yinanobe/
24時間問い合わせはこちらから
公式LINE:https://lstep.app/XvXjl0q
PROFILE

稲野辺悠(夜の獣医師ゆってぃー)
港区動物救急医療センター芝アニマルクリニック院長
日本獣医救急集中治療学会所属