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コラム

2025.05.08

犬猫の副鼻腔炎

<原因>

副鼻腔炎は、鼻腔に隣接する副鼻腔の粘膜に炎症が生じる疾患です。主に以下の要因が原因となります。

  1. 感染症
    細菌、ウイルス、真菌が副鼻腔内で増殖し、炎症を引き起こします。特に細菌性副鼻腔炎は犬や猫で一般的です。
  2. アレルギー
    花粉やダニ、カビなどに対するアレルギー反応が、副鼻腔の粘膜に炎症を引き起こすことがあります。
  3. 歯科疾患
    上顎の歯根部が感染し、副鼻腔に波及することで炎症が発生します(歯性副鼻腔炎)。
  4. 構造的要因
    鼻腔や副鼻腔の先天的または後天的な形態異常(例:鼻中隔の湾曲)が、排泄障害を引き起こす場合があります。
  5. 異物の侵入
    草の種や小さな物体が副鼻腔に入り込み、炎症や感染を引き起こします。
  6. 腫瘍やポリープ
    鼻腔や副鼻腔内の腫瘍やポリープが、副鼻腔炎の原因となることがあります。
  7. 慢性的な鼻炎の進行
    慢性鼻炎が進行して、副鼻腔炎を引き起こすことも少なくありません。

<症状>

副鼻腔炎では、以下のような症状が見られることがあります。

  1. 鼻汁の増加
    鼻水が透明から黄色、または緑色に変化する場合があります。
  2. くしゃみ
    頻繁なくしゃみが見られ、場合によっては副鼻腔からの分泌物が排出されることがあります。
  3. 鼻詰まり
    鼻腔の閉塞による呼吸困難が見られ、特に睡眠時のいびきが増加することがあります。
  4. 顔の腫れ
    感染や炎症が進行すると、目の下や鼻の周囲に腫れが生じることがあります。
  5. 食欲不振
    呼吸困難や嗅覚の低下が原因で、食欲が減退する場合があります。
  6. 頭痛や不快感
    動物が頭を振ったり、鼻を頻繁に擦る行動が見られる場合、副鼻腔の不快感や痛みを示している可能性があります。

<診断>

  1. 問診と身体検査
    症状や生活環境を詳しく聞き取り、視診や触診で鼻腔や顔面の異常を評価します。
  2. 鼻腔スワブ検査
    副鼻腔内の分泌物を採取して、細菌培養や真菌検査を行い原因を特定します。
  3. 画像診断
    • X線検査: 副鼻腔の充満や構造的異常を確認します。
    • CT/MRI: 副鼻腔の詳細な構造を把握し、腫瘍や異物の存在を評価します。
  4. 内視鏡検査
    副鼻腔を内視鏡で直接観察し、炎症や異物を特定します。
  5. 血液検査
    炎症マーカーや感染の程度を評価するために行います。

<治療>

  1. 薬物療法
    • 抗生物質: 細菌性副鼻腔炎の治療に使用されます。
    • 抗真菌薬: 真菌感染が確認された場合に投与します。
    • 抗ヒスタミン薬やステロイド: アレルギー性副鼻腔炎の場合に効果的です。
  2. 副鼻腔洗浄
    生理食塩水や専用の洗浄液を用いて、副鼻腔内の分泌物を除去します。
  3. 外科的介入
    腫瘍、ポリープ、異物の除去や、副鼻腔の排泄を促進するための手術が必要となる場合があります。
  4. 歯科治療
    歯性副鼻腔炎の場合、感染した歯の抜歯や治療が行われます。
  5. 環境管理
    • 湿度の調整
    • アレルギー源の除去

<予防策>

  1. 定期的な健康診断
    副鼻腔炎を早期に発見し、適切な治療を受けることが重要です。
  2. 異物の侵入防止
    動物が異物を吸い込む可能性のある場所や状況を避けましょう。
  3. 歯科ケアの徹底
    定期的な歯科検診やケアを行い、歯性副鼻腔炎のリスクを軽減します。
  4. アレルギー対策
    動物がアレルギー反応を示す物質を特定し、それらを環境から排除します。

副鼻腔炎は早期診断と適切な治療により、症状の改善が期待できる疾患です。症状が現れた場合は、速やかに獣医師に相談することをおすすめします。

お困りのことが御座いましたら、お気軽にご相談ください。

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PROFILE

稲野辺悠(夜の獣医師ゆってぃー)

港区動物救急医療センター芝アニマルクリニック院長
日本獣医救急集中治療学会所属

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