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コラム

2025.04.12

犬猫の気管炎・気管支炎

<原因>

気管炎および気管支炎は、それぞれ気管や気管支の粘膜に炎症が生じる疾患です。急性と慢性に分類され、原因はさまざまです。以下に主な原因を示します。

  1. 感染症
    細菌、ウイルス、または真菌感染が主な原因です。特に犬では、ケンネルコフ(伝染性気管気管支炎)が一般的です。
  2. 刺激物の吸入
    タバコの煙、化学物質、粉塵、花粉などの吸入が原因となることがあります。
  3. アレルギー
    アレルギー性反応が慢性的な気管支炎を引き起こす場合があります。
  4. 気温や湿度の変化
    冷たい空気や乾燥した環境が気道を刺激し、炎症を悪化させることがあります。
  5. 寄生虫感染
    フィラリアや肺虫などの寄生虫が気管や気管支に炎症を起こすことがあります。
  6. 異物の侵入
    小さな異物が気道に入り込むことで、局所的な炎症が発生します。
  7. 基礎疾患
    心不全、肺疾患、または腫瘍が原因で二次的に気管や気管支に炎症が生じることがあります。

<症状>

気管炎と気管支炎は類似した症状を示すことが多く、炎症の程度や原因によって異なります。

    • 乾いた咳、または湿った咳がみられます。
    • 咳が激しく、夜間や運動後に悪化することがあります。
  1. 呼吸困難
    炎症による気道の狭窄が原因で、呼吸が浅く速くなることがあります。
  2. 喘鳴
    吸気または呼気時に「ヒューヒュー」「ゼーゼー」という音が聞こえることがあります。
  3. 食欲不振
    不快感や体力の低下により、食欲が減少することがあります。
  4. 発熱
    感染症が原因の場合、体温が上昇することがあります。
  5. 運動不耐性
    運動後に咳が悪化し、疲れやすくなることがあります。
  6. 鼻水
    特にウイルス感染が原因の場合、鼻水が伴うことがあります。

<診断>

  1. 問診と身体検査
    症状の持続期間、環境要因、過去の疾患歴などを確認し、聴診器を用いて気道音を評価します。
  2. 血液検査
    炎症マーカーや感染症の有無を確認します。
  3. 胸部X線検査
    気管や気管支の炎症や形状異常を確認します。また、肺炎や腫瘍の有無も評価します。
  4. 気管支内視鏡検査
    内視鏡を用いて気管や気管支を直接観察し、異物や炎症部位を確認します。
  5. 細菌培養検査
    気管分泌物を採取し、感染の原因菌を特定します。
  6. 寄生虫検査
    フィラリアや肺虫の感染を確認するために血液検査や糞便検査を行います。

<治療>

  1. 薬物療法
    • 抗生物質: 細菌感染が原因の場合に使用されます。
    • 抗炎症薬: 気管や気管支の炎症を軽減します。
    • 気管支拡張薬: 気道を広げ、呼吸を楽にします。
    • 寄生虫駆除薬: 寄生虫感染が原因の場合に投与されます。
    • 鎮咳薬: 咳を抑えることで、動物の安静を促します。
  2. 吸入療法
    ネブライザーを使用して、直接気道に薬を届ける方法が効果的です。
  3. 環境管理
    • 刺激物を避ける(タバコの煙、化学物質など)。
    • 部屋の湿度を適切に保つ(加湿器の使用)。
  4. 食事管理
    消化しやすい栄養バランスの取れた食事を与え、体力を回復させます。
  5. 外科的治療
    異物が気道に存在する場合、内視鏡や手術で安全に除去します。

<予防策>

  1. 適切なワクチン接種
    ケンネルコフや他の感染症を予防するために、定期的な予防接種を行います。
  2. 刺激物の回避
    タバコの煙や強い化学物質から動物を守ります。
  3. 異物の管理
    誤飲や誤吸入の原因となる小さな物をペットの届かない場所に保管します。
  4. 寄生虫予防
    フィラリア予防薬を定期的に投与します。
  5. 適切な運動と休息
    過度な運動を避け、安静を保つことで気道への負担を軽減します。

気管炎・気管支炎は早期の診断と治療が重要です。症状が見られた場合は速やかに獣医師に相談し、適切な対応を行うことで、動物の生活の質を改善し健康を保つことができます。

お困りのことが御座いましたら、お気軽にご相談ください。

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PROFILE

稲野辺悠(夜の獣医師ゆってぃー)

港区動物救急医療センター芝アニマルクリニック院長
日本獣医救急集中治療学会所属

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