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コラム

2025.01.21

犬猫のアルコール中毒について救急獣医師が解説

<原因>

アルコール(エタノール)は、ビール、ワイン、スピリッツ、アルコールを含む料理、消毒用アルコールなどに含まれています。動物がこれらの製品を摂取すると、中毒症状を引き起こす可能性があります。動物の体はアルコールを処理する能力が低いため、少量でも重大な症状が現れることがあります。特に犬はアルコールの代謝が遅く、非常に敏感です。

<症状>

アルコール中毒を起こした動物は、摂取後短時間で以下の症状が現れることがあります。

  • 嘔吐
  • 下痢
  • 無気力:元気がなく、活動を避ける。
  • 呼吸困難:呼吸が速くなるまたは困難になる。
  • 過剰な興奮または沈静化:アルコールによる中枢神経系への影響で、逆に活発になることもありますが、最終的には過度に落ち着く、または昏睡状態になることがあります。
  • 震えやけいれん
  • 体温低下:体温が急激に低くなることがあり、特に小型犬や猫において顕著です。
  • 昏睡:中毒が重症化すると、昏睡状態になることがあります。

<診断>

  • 問診:アルコールを含む物質を摂取した可能性があるかどうか、特に家庭内でアルコール製品がどこにあったかを確認します。
  • 血液検査:アルコールの血中濃度を測定し、肝機能や腎機能などの影響も調べます。
  • 尿検査:アルコールが体内にどれくらい残っているかを確認するため、尿検査を行うこともあります。

<治療>

  • 催吐処置:摂取から時間が経っていない場合、動物病院で催吐処置を行うことが効果的です。
  • 活性炭投与:アルコールの吸収を減らすために、活性炭を与えることがあります。
  • 静脈内輸液:脱水症状や血糖値の低下を防ぐため、輸液を行います。
  • 呼吸管理:呼吸困難や昏睡状態が進行した場合、酸素療法や人工呼吸を行うことがあります。
  • 監視と支持療法:アルコールの影響を受けた中枢神経や心臓の管理が重要となり、症状に応じた治療を行います。

<予防>

  • アルコール製品の管理:家庭内でアルコールを使用する際には、動物がアクセスできない場所に保管することが重要です。
  • アルコールを含む食品や飲み物を与えない:アルコールを含む食品や飲み物を犬や猫に与えないようにし、誤飲を防ぎます。
  • 外出時の注意:外出先でアルコールを摂取した場合は、動物がその場にいないようにするなど、注意を払うことが大切です。

<まとめ>

アルコールは動物にとって非常に危険な物質であり、少量でも中毒症状を引き起こす可能性があります。症状が現れた場合は、速やかに獣医師に相談し、適切な治療を受けることが重要です。アルコール製品の管理を徹底し、動物の安全を守ることが予防には欠かせません。

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PROFILE

稲野辺悠(夜の獣医師ゆってぃー)

港区動物救急医療センター芝アニマルクリニック院長
日本獣医救急集中治療学会所属

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