2025.05.08
犬猫の副鼻腔炎
<原因>
副鼻腔炎は、鼻腔に隣接する副鼻腔の粘膜に炎症が生じる疾患です。主に以下の要因が原因となります。
- 感染症
細菌、ウイルス、真菌が副鼻腔内で増殖し、炎症を引き起こします。特に細菌性副鼻腔炎は犬や猫で一般的です。 - アレルギー
花粉やダニ、カビなどに対するアレルギー反応が、副鼻腔の粘膜に炎症を引き起こすことがあります。 - 歯科疾患
上顎の歯根部が感染し、副鼻腔に波及することで炎症が発生します(歯性副鼻腔炎)。 - 構造的要因
鼻腔や副鼻腔の先天的または後天的な形態異常(例:鼻中隔の湾曲)が、排泄障害を引き起こす場合があります。 - 異物の侵入
草の種や小さな物体が副鼻腔に入り込み、炎症や感染を引き起こします。 - 腫瘍やポリープ
鼻腔や副鼻腔内の腫瘍やポリープが、副鼻腔炎の原因となることがあります。 - 慢性的な鼻炎の進行
慢性鼻炎が進行して、副鼻腔炎を引き起こすことも少なくありません。
<症状>
副鼻腔炎では、以下のような症状が見られることがあります。

- 鼻汁の増加
鼻水が透明から黄色、または緑色に変化する場合があります。 - くしゃみ
頻繁なくしゃみが見られ、場合によっては副鼻腔からの分泌物が排出されることがあります。 - 鼻詰まり
鼻腔の閉塞による呼吸困難が見られ、特に睡眠時のいびきが増加することがあります。 - 顔の腫れ
感染や炎症が進行すると、目の下や鼻の周囲に腫れが生じることがあります。 - 食欲不振
呼吸困難や嗅覚の低下が原因で、食欲が減退する場合があります。 - 頭痛や不快感
動物が頭を振ったり、鼻を頻繁に擦る行動が見られる場合、副鼻腔の不快感や痛みを示している可能性があります。
<診断>

- 問診と身体検査
症状や生活環境を詳しく聞き取り、視診や触診で鼻腔や顔面の異常を評価します。 - 鼻腔スワブ検査
副鼻腔内の分泌物を採取して、細菌培養や真菌検査を行い原因を特定します。 - 画像診断
- X線検査: 副鼻腔の充満や構造的異常を確認します。
- CT/MRI: 副鼻腔の詳細な構造を把握し、腫瘍や異物の存在を評価します。
- 内視鏡検査
副鼻腔を内視鏡で直接観察し、炎症や異物を特定します。 - 血液検査
炎症マーカーや感染の程度を評価するために行います。
<治療>

- 薬物療法
- 抗生物質: 細菌性副鼻腔炎の治療に使用されます。
- 抗真菌薬: 真菌感染が確認された場合に投与します。
- 抗ヒスタミン薬やステロイド: アレルギー性副鼻腔炎の場合に効果的です。
- 副鼻腔洗浄
生理食塩水や専用の洗浄液を用いて、副鼻腔内の分泌物を除去します。 - 外科的介入
腫瘍、ポリープ、異物の除去や、副鼻腔の排泄を促進するための手術が必要となる場合があります。 - 歯科治療
歯性副鼻腔炎の場合、感染した歯の抜歯や治療が行われます。 - 環境管理
- 湿度の調整
- アレルギー源の除去
<予防策>

- 定期的な健康診断
副鼻腔炎を早期に発見し、適切な治療を受けることが重要です。 - 異物の侵入防止
動物が異物を吸い込む可能性のある場所や状況を避けましょう。 - 歯科ケアの徹底
定期的な歯科検診やケアを行い、歯性副鼻腔炎のリスクを軽減します。 - アレルギー対策
動物がアレルギー反応を示す物質を特定し、それらを環境から排除します。
副鼻腔炎は早期診断と適切な治療により、症状の改善が期待できる疾患です。症状が現れた場合は、速やかに獣医師に相談することをおすすめします。
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PROFILE

稲野辺悠(夜の獣医師ゆってぃー)
港区動物救急医療センター芝アニマルクリニック院長
日本獣医救急集中治療学会所属