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コラム

2025.01.14

犬猫のキシリトール中毒

夜間にキシリトールガムの誤飲・誤食で救急動物病院に来院するケースは少なくありません。キシリトールガムの誤食では場合によっては命に関わることもあります。

<原因>

キシリトールは、ガムやキャンディ、焼き菓子、歯磨き粉などに含まれる人工甘味料の一つで、犬にとっては非常に有毒です。キシリトールを摂取すると、急激にインスリンの分泌が促進され、低血糖(血糖値の急激な低下)が引き起こされるため、注意が必要です。また、大量に摂取すると肝臓への損傷も引き起こす可能性があります。

<症状>

キシリトールを摂取した動物は、通常30分以内に以下のような症状を示します。

  • 急性低血糖症:震え、歩行困難、意識障害、倒れる、興奮または沈静化
  • 嘔吐:胃の不快感からくる嘔吐
  • 発作:低血糖が進行すると、けいれんや発作を起こすことがあります。
  • 肝機能障害:摂取から数時間後、肝臓への影響が現れ、黄疸(皮膚や目が黄色くなる)、食欲不振、元気消失、嘔吐などの症状が見られます。

<診断>

  • 問診:キシリトールを含む食品の摂取歴があるかどうかを確認します。
  • 血糖値測定:低血糖の状態を確認するために血糖値を測定します。
  • 肝機能検査:肝臓の機能を調べるために、血液中の肝酵素やビリルビン値を測定します。

<治療>

  1. 催吐処置:摂取から短時間以内であれば、動物病院で催吐処置を行い、キシリトールの吸収を防ぎます。
  2. 静脈内輸液:低血糖に対する治療として、ブドウ糖を含んだ点滴を行います。
  3. 監視と支持療法:治療中は血糖値を定期的に測定し、必要に応じてブドウ糖を補充します。肝機能に問題がある場合は、肝保護薬や支持療法が必要となることがあります。

<予防>

  • キシリトールを含む製品の管理:ペットの手の届かない場所にキシリトールを含む製品を保管することが重要です。
  • 他の甘味料の使用:動物に与えるおやつや食品には、キシリトールを使用していないものを選びましょう。
  • 誤食防止:キシリトールが含まれるガムやキャンディは、ペットがアクセスできない場所に保管し、誤食を防ぐために注意しましょう。

<まとめ>

キシリトール中毒は、特に犬にとって危険な状態を引き起こす可能性があり、早期の発見と迅速な治療が求められます。飼い主はキシリトールを含む製品を動物の手の届かない場所に保管し、もし誤って摂取してしまった場合は速やかに動物病院を受診することが重要です。

お困りのことが御座いましたら、お気軽にご相談ください。

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PROFILE

稲野辺悠(夜の獣医師ゆってぃー)

港区動物救急医療センター芝アニマルクリニック院長
日本獣医救急集中治療学会所属

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