今回は犬のワクチンについてまとめました!
ワンちゃんがかかりやすい感染症の中で特に命に関わるものを感染から守ることはもちろんのこと、他の犬に感染させないため、はたまた我々人間に感染させないためににワクチンを打つことは非常に重要です!
①ワクチンはどのように病気から守っている?
ワンちゃんに毎年打つワクチン
ワクチンの中に何が入っているか知っていますか?
ワクチンの中には毒性を弱めた、もしくは毒性をなくした病原体が入っています
それだと病原体を健康な子に打って大丈夫なんですか!?
そもそも私たち人間もわんちゃんも免疫という機能が体に備わっていて
何かしらの感染症にかかった際、その病原体に対する免疫が作られます。
この免疫によって次感染症が体の中に侵入してきた際に病気の発症を防いだり、発症しても症状を弱めたりしてくれているということですね!
②犬のワクチンの種類について
法律で1年に1回の接種が義務付けられているワクチン
法律で接種が義務付けられていない任意のワクチンの2種類があります
法律で接種が義務付けられているワクチンは狂犬病のワクチン
これは詳しくはまたお伝えしますので、今回は割愛します。
今回は法律で接種が義務付けられていない任意のワクチン、いわゆる混合ワクチンについて詳しくお伝えします。
3年に1回の接種でいいのか?
毎年打つと病気になるんじゃないか?みたいな疑問が出てくるのが混合ワクチンだと思いますので、今回はこちらをくわしくお伝えします。
混合ワクチンは予防できる病気の種類によって5~10種のワクチンがあります。
一覧はこのような感じになっています。
この中でもコアワクチンは赤字のもので全国で発生している病気として全ての犬の予防が推奨されているものです。
それ以外のワクチンはノンコアワクチンと言ってその病気に感染する可能性のある子は接種することが推奨されているワクチンになります。
とりあえず多い種類のワクチンを打っておけば大丈夫!と言ったことではなく、多ければ副作用が出る確率が増えたりだとか、逆に少ない種類を打つと予防できない病気もあります。
「じゃあうちの子にはどの種類のワクチンを接種すればいいの~?」
ざっくりご説明すると
愛犬はほとんどお部屋の中にいて、子犬や他のわんちゃんと触れ合う機会はほとんどありません!
そのような子は5~6種のワクチンで十分かと思います。
外に毎日散歩で出掛けていて、たまにドッグランに行き、他のワンちゃんとも触れ合います。
そのような子は8種のワクチン
犬を連れて山や川、海などに1年に1回以上は出かける。
そのような子は10種のワクチンを接種するようにしましょう
③ワクチンの接種間隔について
子犬と成犬でワクチン接種の間隔は変わります!
子犬のコアワクチン接種は
2ヶ月齢から4ヶ月齢の間に2~3回接種する
ただし、最終接種は16週齢以降とする
最終接種後、4週間以上の間隔を空けて血液検査で抗体検査を行う
検査の結果抗体が感染値予防の基準を満たしていればコアワクチンにおいては3年ごとに追加接種を行う
とされています
子犬の時期にうちはワクチン3回打ったのに、他のお家は2回だったのはどうして?
という疑問はこれで解消されるかと思います!
では成犬になってからのワクチン接種間隔についてもう少し掘り下げましょう!
ネットを見ると毎年ワクチンを打つと病気になりやすいんじゃないですか?
毎年ワクチン打つのは日本だけって見たけどどうなんですか?
こういった疑問がたくさん寄せられています!
先ほど説明した通り
コアワクチンは子犬の時期の最終接種以降、抗体価が十分にあることが確認された後
3年に1回の接種で良いとされていることを説明しました。
これ”コアワクチンは”というところが肝でして
ノンコアワクチンは3年に1回の接種では不十分とされているんです。
というのもコアワクチンはなぜ3年に1回で良いとされているのかですが、
その理由はコアワクチンは一度接種すれば3年以上、十分な抗体価が残っていることが分かっているからです。
抗体価とはその病気に抵抗するだけの十分な抗体量が備わっているということです。
抗体量が十分あるなら、追加でワクチンを接種して抗体を作らなくてもいいですもんね!
ただし、個体によって抗体が3年以上持つ個体と1年で足りなくなってしまう個体もいるので、抗体価のチェックをした上で接種するか否か決めることもおすすめです!
ではノンコアワクチンですが1回接種するだけでは抗体価は1年持たないと言われています。
特にレプトスピラワクチンの多くは半年ほどしか抗体価は持続しないと言われており、毎年の接種あるいは感染しやすい環境に行く前の接種が推奨されています。
コアワクチンとノンコアワクチンの接種間隔についてわかりましたでしょうか?
ではここで一つ疑問が出ると思います。
コアワクチンは1回打てば3年抗体価が残るのに子犬の時期に何度も接種しないといけないのはなぜですか?
いい質問ですね!
その理由は子犬の時期はお母さん犬からもらった移行抗体が身を守っており、それがワクチンの効果を少なくしてしまうからです。
じゃあお母さん犬からの移行抗体なんていらない!!何度も注射打たれるの嫌だ!!
ってね子犬の皆さんは思われるかもしれませんが、それは置いといて
子犬の時期は自分自身で感染から身を守ることができないため、お母さんからの移行交代が感染から身を守ってくれています
母犬からの移行抗体は子犬の成長とともに少なくなり、それに従って自分自身で免疫を作れるようになるからワクチンの接種間隔は少なくて済むということです!
こちらで動画で詳しく解説しています!
PROFILE
稲野辺悠(夜の獣医師ゆってぃー)
港区動物救急医療センター芝アニマルクリニック院長
日本獣医救急集中治療学会所属