先日、群馬県伊勢崎市で四国犬に子供12人らが噛まれて負傷するというニュースが流れました。皆さんも見られたのではないでしょうか?
その際に噛んだ四国犬が狂犬病未接種だったことが判明し、市が飼い主に対して予防接種を受けるよう指導するということになりました。
実際2022年の狂犬病ワクチン接種率は全国平均で70.9%(厚労省)と年々低下傾向です。
日本での狂犬病発生は1956年を最後に発生していません。
これらのことを踏まえてネットでは
「日本では狂犬病はないからワクチンを打たなくていい」とか「うちの子は病気持ちだから打ちたくない」などの意見がネットでは話題になり、ネットでは狂犬病接種を受けさせるべきなのか、受けさせる必要は本当にあるのかと話題になりました。
受けさせる理由は動物病院に言われたから、法律で決まっているからとなんとなく接種させていませんか?
今回は狂犬病はどのような病気なのか、狂犬病ワクチンを打つ理由、狂犬病ワクチンの副作用、狂犬病ワクチンを打たない方法の4つに分けて説明していきます。
最後までぜひお付き合いください!
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①狂犬病はどんな病気
狂犬病は、狂犬病ウイルスを保有するイヌ、ネコおよびコウモリを含む野生動物に咬まれたり、引っ掻かれたりしてできた傷口からの侵入、および極め て稀ではあるが、濃厚なウイルスによる気道粘膜感染によって発症する人獣共通感染症である。
狂犬病が何より恐ろしいのは一度発症すると致死率がほぼ100%な点である。
世界では毎年約4万人が狂犬病で命を落としていて、狂犬病の発生国と発生していない国の一覧がこちら。
世界で狂犬病の発生がない国は非常に少ないことがわかります!
日本での狂犬病は1957年以降発生しておらず、その理由として犬の狂犬病ワクチン接種の義務化や検疫の強化などが挙げられる。
②狂犬病ワクチンを打つ理由
この大きな理由は法律で接種が義務付けられているから。動物病院で毎年接種してくださいね~ってお知らせが来るからですよね。
法律の話をする前に先ほど狂犬病がどれだけ怖い病気かというのを説明しました。
中には狂犬病が今現在ないのだからワクチン接種させる必要なくない?と思われる方もいると思います。
それがいつでも狂犬病ウイルスは入ってくる可能性があるんです!
日本は島国なので、船や飛行機で様々なものが輸送されてきます。
その中に狂犬病ウイルスを持った動物が間違って入っちゃって、国内に侵入して、人や犬を噛んで感染させちゃいました!
噛まれた犬は狂犬病ワクチンを接種していなくて、瞬く間に人や他のわんちゃんにも感染させてパンデミックー!なんてことが怒る可能性も0ではありません!
ワクチンは動物たちだけでなく、我々人間のことも守っていることを改めて認識しましょう!
では、法律による狂犬病ワクチンの必要性についてですが
狂犬病予防法という法律が存在していてそれによると
●「狂犬病予防法」(昭和25年法律第247号)に基づき、91日齢以上の犬の所有者は、その犬を所有してから30日内に市町村に犬の登録をし、鑑札の交付を受けるとともに、狂犬病の予防注射を犬に受けさせ、注射済票の交付を受けなければなりません。また、交付された鑑札と注射済票は、必ず犬に付けなければなりません。
●登録されていない犬、狂犬病の予防注射を受けていない犬、鑑札や注射済票を装着していない犬は、捕獲・抑留の対象となります。また、飼い犬を登録していない所有者や飼い犬に予防注射を受けさせていない所有者、飼い犬に鑑札や注射済票を装着していない所有者は20万円以下の罰金の対象となります。
要は犬を新しく飼育し始めたら市区町村に登録
毎年の狂犬病ワクチンを接種して鑑札と注射済表をつけてね!
それらを守らないと罰金になるかもよ!ということです!
罰金に処されることもあるって知ってましたか?
実際に2019年の国内での検挙数は174件に上ります。
③狂犬病ワクチンの副作用
狂犬病の予防注射を含む全ての予防注射は、副反応が発生する可能性があります。犬に対する狂犬病の予防注射においては、一過性の副反応(疼痛、元気・食欲の不振、下痢又は嘔吐等)が認められることがあります。過敏体質の場合、まれにアレルギー反応〔顔面腫脹(ムーンフェイス)、掻痒、蕁麻疹等〕、アナフィラキシー反応〔ショック(虚脱、貧血、血圧低下、呼吸速拍、呼吸困難、体温低下、流涎、ふるえ、けいれん、尿失禁等)〕などが報告されています。なお、獣医師は医薬品及び医療用具における重大な副作用等を知った際には農林水産省に報告することが義務付けられており、獣医師から農林水産省に報告されている狂犬病予防注射に関する副作用の件数については、平成27年度は18件となっています。詳細は農林水産省動物医薬品検査所ウェブサイト(http://www.maff.go.jp/nval/)を参照してください。
(参考)平成27年度日本国内における狂犬病予防注射頭数:4,688,240頭
④狂犬病ワクチンを打たない方法
最後に狂犬病ワクチンをどうしても打ちたくないよ!という方に打たせない方法をお伝えします。
それは狂犬病ワクチン接種猶予証明書というものを獣医さんに発行してもらうことです!
その年の狂犬病接種を猶予証明書があれば免除することができます。
大体のところは狂犬病の値段と同じくらいの金額がかかります。
しかし、どんな方でもこの猶予証明書を発行できるわけではございません。
例えば、以前狂犬病ワクチンを接種した際に命に関わる副作用が出て生死を彷徨った!や今現在、末期癌の診断を受けていてあと1ヶ月生きてくれるかも分からない!
といった場合に特別に猶予証明書が発行されます!
今聞いていた方はこんな重い状態でないと猶予証明書は発行してもらえないのですか?と思ったと思いますが、実際それぐらい重いです。
理由は
万が一、猶予証明書を発行した犬が狂犬病を発症して人に感染させてしまった場合、責任を取るのはその獣医師だからです。
真っ当な理由がなければそんなリスクは負えないというのが実情です。
実際問題、軽い副作用や慢性疾患でも猶予証明書を発行しているところは少なからずあると思いますが、私個人的にはこれぐらいのハードルは設ける必要があると思っています。
このことについては同じ業界の方や飼い主様のご意見をコメント欄にぜひお書きいただければと思います。
PROFILE
稲野辺悠(夜の獣医師ゆってぃー)
港区動物救急医療センター芝アニマルクリニック院長
日本獣医救急集中治療学会所属