2025.05.27
犬猫の心筋炎・心膜炎
<原因>
心筋炎と心膜炎は、心臓の異なる部位に炎症が生じる疾患です。
- 心筋炎: 心筋(心臓の筋肉組織)に炎症が起きる疾患で、ウイルス、細菌、寄生虫感染、自己免疫疾患、中毒などが原因となります。
- 心膜炎: 心臓を包む膜(心膜)が炎症を起こす状態で、感染症、外傷、腫瘍、代謝異常が主な原因とされています。
<症状>
- 心筋炎
- 不整脈
- 運動不耐性(疲れやすくなる)
- 呼吸困難
- 食欲不振
- 失神や衰弱
- 心膜炎
- 心嚢水貯留による胸部膨満感
- 呼吸困難
- 元気消失
- ショック症状
<診断>

- 身体検査と病歴の聴取
- 胸部X線検査:心臓の拡大や心嚢水の確認
- 心エコー検査:心筋や心膜の状態を評価
- 血液検査:炎症マーカーや感染の有無を特定
- 心電図(ECG):不整脈や心臓の電気的異常を評価
<治療>

- 心筋炎の治療
- 原因に応じた対症療法:感染症であれば抗生物質や抗寄生虫薬を投与
- 心不全が発生している場合、利尿剤やACE阻害薬を使用
- 心膜炎の治療
- 心嚢水貯留の場合、緊急時に心嚢穿刺術を行い液体を除去
- 原因となる感染症や腫瘍への治療
- 抗炎症薬や免疫抑制剤を使用することもあります
<予後>
- 早期診断と適切な治療が行われれば、症状をコントロールできる場合もあります。ただし、原因や進行状況によっては予後が厳しい場合もあります。
<予防>

- 定期的な健康診断で早期の心疾患を発見
- 感染症予防のための適切なワクチン接種
- バランスの取れた食事と健康的な生活環境を維持
<注意点>
心筋炎や心膜炎は初期症状が分かりにくく、進行すると生命に関わる場合があります。早期に異常を見つけることが重要です。
お困りのことが御座いましたら、お気軽にご相談ください。
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PROFILE

稲野辺悠(夜の獣医師ゆってぃー)
港区動物救急医療センター芝アニマルクリニック院長
日本獣医救急集中治療学会所属