2026.02.02
犬猫の食道炎について
目次
原因

動物の食道炎は、食道の粘膜に炎症が生じる疾患で、さまざまな要因によって引き起こされます。以下に主な原因を詳しく解説します。
1. 胃食道逆流(GER)
胃酸や消化酵素が食道に逆流することで、食道の粘膜が刺激され、炎症を引き起こします。特に全身麻酔後や食道裂孔ヘルニアの存在時にリスクが高まります。
2. 刺激性・腐食性物質の摂取
化学薬品や腐食性物質、刺激の強い食べ物を誤って摂取すると、食道の粘膜が直接損傷を受け、炎症が発生します。
3. 異物の誤飲
とがった金属片、プラスチック、骨などの異物を誤飲すると、食道内に滞留し、物理的な損傷を引き起こします。
4. 持続的な嘔吐
頻繁な嘔吐により、胃酸が繰り返し食道に逆流し、粘膜が損傷されて炎症が生じます。
5. 感染症
カンジダなどの真菌感染が食道炎の原因となることがあります。
6. 薬剤の影響
猫では、ドキシサイクリンやクリンダマイシンなどの錠剤が食道内に停滞し、炎症を引き起こすことがあります。
7. 医療処置による損傷
全身麻酔や内視鏡検査などの医療行為が原因で、食道が損傷し、炎症を引き起こす場合があります。
症状

動物の食道炎は、食道の粘膜に炎症が生じる疾患で、さまざまな症状が現れます。以下に、主な症状を詳しく解説します。
主な症状
- 嚥下困難(飲み込みづらさ): 食道の炎症により、食物や水を飲み込む際に痛みや違和感を感じることがあります。
- 嘔吐や吐出: 食後すぐに食べたものを吐き戻すことがあり、特に食道狭窄が進行するとこの症状が顕著になります。
- 流涎(よだれの増加): 口腔内に唾液が溜まりやすくなり、よだれを垂らすことが増えます。
- 食欲不振: 食道の痛みや不快感から、食欲が低下することがあります。
- 体重減少: 食事量の減少や栄養吸収の低下により、体重が減少することがあります。
- その他の症状: 頭を伸ばして立つ、横になることを嫌がる、震えなどの症状が見られることがあります。
症状の進行と合併症
食道炎が進行すると、食道壁の深部まで炎症が及び、組織の繊維化が進行し、食道狭窄を引き起こすことがあります。また、吐出物を誤嚥することで肺炎を併発するリスクもあります。
早期発見の重要性
動物は痛みを隠す傾向があるため、症状が進行してから気づくことが多いです。そのため、食事の様子や行動に異常が見られた場合は、早めに獣医師に相談することが重要です。
これらの症状に注意し、早期に適切な対応を行うことで、動物の健康を守ることができます。
検査

1. 問診と身体検査
まず、獣医師は飼い主から詳細な問診を行い、動物の症状や食習慣、既往歴などを確認します。その後、視診や触診を通じて全身状態を評価します。
2. 血液検査
血液検査では、炎症の有無や全身状態を確認します。特に、重度の食道炎では白血球数の増加が見られることがあります。
3. 画像診断
X線検査
単純X線撮影では、食道炎の直接的な所見は得られにくいですが、バリウム造影を行うことで、食道の形態や運動性の異常を確認できます。
内視鏡検査
内視鏡を用いて食道内を直接観察し、炎症や潰瘍の有無を確認します。ただし、内視鏡検査は全身麻酔が必要であり、動物への負担を考慮して実施が検討されます。
4. その他の検査
必要に応じて、超音波検査やCT検査などが行われ、他の疾患との鑑別や詳細な評価が行われます。
これらの検査結果を総合的に判断し、適切な治療方針が決定されます。早期の診断と治療が、動物の健康維持に重要です。
治療
治療方法
食道炎の治療は、原因と症状の重症度に応じて異なります。主な治療法は以下のとおりです。
- 絶食と食事管理: 軽度の食道炎の場合、1~2日の絶食を行い、その後、消化しやすい流動食を少量ずつ与えることが推奨されます。
- 薬物療法:
- 粘膜保護剤: 食道の粘膜を保護し、炎症の治癒を促進します。
- 胃酸分泌抑制剤: 胃酸の分泌を抑え、胃酸の逆流による食道への刺激を軽減します。
- 消化管運動促進薬: 胃の内容物の排出を促進し、胃酸の逆流を防ぎます。
- 外科的介入: 重度の食道炎や食道狭窄が発生した場合、バルーンカテーテルによる拡張術やステントの設置が必要になることがあります。
予防策
食道炎を予防するためには、以下の点に注意することが重要です。
- 異物の誤飲防止: 小さなプラスチック片や骨など、誤って飲み込む可能性のある物をペットの手の届く場所に置かないようにしましょう。
- 適切な食事温度: 熱すぎる食べ物は食道を損傷する可能性があるため、適切な温度に冷ましてから与えることが大切です。
- 薬剤投与時の注意: 特定の抗生物質(例:ドキシサイクリン)などは、猫の食道に停滞しやすく、食道炎を引き起こすことがあります。薬を投与する際は、水を飲ませるか食事と一緒に与えるようにしましょう。
注意点
食道炎の症状として、よだれ、嘔吐、食欲不振、嚥下困難などが見られます。これらの症状が現れた場合、早めに獣医師に相談することが重要です。また、食道炎は他の疾患(例:胃炎、膵炎)と関連して発生することがあるため、基礎疾患の治療も同時に行う必要があります。
適切な治療と予防策を講じることで、ペットの健康を維持し、食道炎の再発を防ぐことができます。
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PROFILE
稲野辺悠(夜の獣医師ゆってぃー)
港区動物救急医療センター芝アニマルクリニック院長
日本獣医救急集中治療学会所属





