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2024.03.24

心原性肺水腫

心疾患の主な原因は僧帽弁閉鎖不全症(MR)であり、拡張型心筋症(DCM)や動脈管開存症などの症例も存在します。これらの疾患によって引き起こされる重度の左心不全は肺水腫を引き起こす。心疾患を有する動物では、うっ血性心不全によって左房圧、肺静脈圧、肺毛細血管圧が上昇し、スターリングの仮説が不均衡となり、肺水腫が発症する。

心原性肺水腫の診断には、一般的な症状として呼吸困難や頻呼吸があり、特徴的な姿勢や咳嗽が必発の症状ではないことに注意が必要です。身体検査では粘膜が白くなることや徐脈、低血圧、低体温などが見られます。肺野でコース・クラックルや心雑音が聴取されます。画像検査では肺エコー検査とX線検査が主に行われ、肺エコーでは高輝度なラインが認められます。X線検査では肺胞パターンや間質パターンが観察されます。呼吸機能の評価にはSpO2測定や血液ガス分析が行われ、重症例では陽圧呼吸での管理が検討されます。循環不全の評価には乳酸値やCRPが利用され、必要な検査を選択、実施する際には動物の緊急度や重症度を見極めながら行うことが重要です。特に検査がストレスをかける場合は状態が安定してから再度実施するべきです。

急性心原性肺水腫の治療は、主に酸素療法と循環管理に焦点を当てています。酸素療法では、フローバイ法、マスク法、フード法、酸素室管理などが一般的な方法です。重篤な呼吸状態や循環不全には気管挿管と陽圧呼吸管理が行われます。うっ血に対する治療では、ループ利尿薬の投与が第一選択であり、フロセミドの即効性があります。利尿効果のモニタリングには排尿量の測定や呼吸数の観察が行われます。また、フロセミドに加えてニトログリセリンやカルペリチドなどの血管拡張薬や強心薬が併用される場合もあります。このような治療アプローチによって呼吸状態や循環動態の改善が図られます。

症例の臨床症状が改善されると、急性期治療から徐々に慢性心不全治療に移行します。この移行には、心機能や腎機能の悪化を防ぎ、肺水腫の再発を避けることが重要です。短期および長期の予後は、基礎疾患の進行状況によって異なります。犬や猫における急性うっ血性心不全の報告では、犬の生存退院率が82.2%と報告されています。

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